交通事故の他覚的所見とは?
交通事故の「他覚的所見」とは、医師などの第三者が客観的に確認できる身体的な異常や損傷のことを指します。
これは、被害者本人の訴えや自覚症状とは異なり、医療的な検査や診察によって裏付けられる「外から見て分かる証拠」として扱われます。
たとえば、レントゲンやMRI、CTスキャンなどの画像検査で確認できる骨折や椎間板ヘルニア、打撲による腫れや傷痕、神経反射の異常などが典型的な他覚的所見です。
この所見は、交通事故の損害賠償請求や後遺障害等級認定において非常に重要な要素となります。
というのも、慰謝料や後遺障害の認定は、医学的に「証明可能な障害」であるかどうかによって大きく左右されるためです。
たとえば、交通事故後に「首が痛い」「しびれがある」といった自覚症状だけでは、客観的な証拠が乏しいと判断されることがあり、損害賠償額が低く抑えられたり、後遺障害として認定されないケースもあります。
そのため、事故後はできるだけ早期に病院で詳細な検査を受け、他覚的所見を医師に記録してもらうことが極めて重要です。
診断書や検査結果として残されたこれらの所見が、後の保険会社との交渉や訴訟において、被害者の正当な主張を裏付ける重要な証拠となるのです。
このように傷害慰謝料は、被害者の精神的損害を公平に補償するための重要な制度であり、適正な金額を受け取るためには、医療記録や通院日数の証明、弁護士による専門的な交渉が有効とされています。

