交通事故の逸失利益とは?
交通事故の逸失利益とは、交通事故によって被害者が負った障害や死亡により、将来得られるはずだった収入が失われたことによる経済的損失のことです。具体的には、事故がなければ得られていたであろう収入や利益を指し、損害賠償請求の対象となります。
逸失利益の算定は、事故による障害が被害者の労働能力にどれほどの影響を与えたか、または死亡した場合に生じる収入の喪失を基に行われます。例えば、被害者が重い後遺障害を負った場合、その障害が労働能力を大幅に制限し、結果として得られるはずの収入が減少することになります。この収入の減少分が逸失利益として計算されます。
逸失利益を算出する際には、被害者の年齢、職業、収入、労働能力の低下率、さらには将来の収入の見込みなどが考慮されます。通常、基礎収入として事故前の年収や労働賃金が使用され、その金額に被害者の労働能力喪失率や労働可能年数を乗じて逸失利益が求められます。また、生活費の控除や将来の収入を現在価値に引き直すことも行われます。
例えば、交通事故によって働けなくなった被害者の場合、その後の労働による収入が全く得られなくなるため、事故前の年収と労働可能年数に基づいて逸失利益が計算されます。同様に、事故によって死亡した場合には、被害者が生存していたなら得られていたであろう収入が逸失利益として算出され、遺族が賠償を請求することができます。
交通事故の逸失利益は、被害者やその家族が事故によって将来得られなくなった経済的利益を補償するための重要な概念であり、損害賠償の計算において大きな役割を果たします。